DGインベストメンツ改善計画

DGの有価証券を含む純現金は時価総額の61%に達している。一方で、株主としては保有資産が還元されるのか疑義があり、保有資産の価値はDGの株価に織り込まれていない。

スタートアップ投資事業のさらなる拡大

ITセグメントはアーリーステージのスタートアップ投資に強みを有している 。この分野でDGは成功を収めており、過去5年間の平均投資収益率は2.9倍となっている。一方で、DGはこの成功を活かし切れていない。

強いプラットフォームを持つITセグメントは、興味深い海外企業に投資をしてきた。

DGは、ITセグメントの素晴らしい実績を生かしきれておらず、ファンド事業はごく一部のみとなっている。

DGは現在、バランスシートを使ってスタートアップ企業に投資することに注力している(投資の76%は自己資金で行っている)。DGは素晴らしい実績と投資プラットフォームを有しているため、DGインベストメンツはファンド事業をさらに拡大できると考えている。競合の株式会社ジャフコ・グループ(以下「ジャフコ」といいます。)は、最近、ファンド事業を拡大するために外部資本をより活用することを発表した。

本年の成長市場は、利上げの影響で世界的に低迷している。これは、DGインベストメンツにとって大きなチャンスであり、準備のための時間を提供している。

カカクコム株式の売却

DGは2002年からカカクコムに投資している。しかし、DGは、最近シナジーを追求することを発表するまで、カカクコムとのシナジーについては言及していなかった。これはDGとカカクコムにシナジーがないことの証左である。

DGは、出資比率にかかわらず、カカクコムと事業上の関係を持つべきである。これはコーポレート・ガバナンス・コードにも明記されている。

林郁氏がDGとカカクコム双方の会長を務めることが、DGがカカクコム株を売却できない主因だと考えている。林郁氏 はカカクコムの会長職から辞任すべき。

配当・自己株買いによる株主還元

DGインベストメンツは、投資事業を行うため、投資からイグジットする際に自己株式取得や配当による資本還元に注力すべき。DGインベストメントは、配当性向100%などより高い配当政策をとるべき。

DGインベストメントは、ジャフコのように投資収益をきちんと株主に還元することで、ジャフコのような株価上昇を発揮する可能性がある。カカクコム株の売却により株主還元の原資を確保することで、DGインベストメンツはさらなる成長に向けて準備することができる。

DGインベストメンツは1株あたり2,761円と試算される。

DGは、すべてのバリュエーション指標において、歴史的な低水準にある。自己株式取得の絶好の機会であると考えている。